正面打ち一教(表)と言う技があります。
相手の正面打ちを手刀で制して前進しながら切り下ろす固め技です。
この技、私より体格の小さい人や、少し大きい程度の人にはそこそこうまく出来るのですが、私よりもだいぶ身長も体重も大きい人とやると、どうしても力がぶつかってしまいうまくいきません。
そこで自分より大柄な人とやる場合、どこに違いがあるのか私なりに検証してみることにしました。
まず、
①間合いが遠い。相手が大きいですから。
それと、
②相手の手刀を受けたときに、受けた私の腕が伸びきった状態に近い。
あと、
③感覚としては相手のふところに下で潰される感じがある。
これら3つの要素は、自分と同程度の体格までの人にはあまり感じない要素です。
なぜそうなるのか。検討した結果・・・
いつもより間合いが遠く、いつもより高い位置に振り上げられた手刀の威圧感に
耐え切れず、その距離を一気に縮めようとしてかなり早い段階(相手の手刀がまだ振り上げ途中の時)で相手の手刀を受けに行っているようです。
上手くいくときは、相手の手刀が振り下ろされ始める瞬間かその少しあとぐらいで受けに行っている感覚です。
これが正しいタイミングなのか?
「
合気道は剣の理合である」と言う言葉があるように、正面打ち一教も実際は刀で打ち合うのを想定した技です。
そこで、剣技について調べてみました。
剣の技で「面すり上げ面」と言うのがあるようです。
打突してきた相手の竹刀を、自分の竹刀の右側若しくは左側ですりあげ、相手の打突を無効にすると同時に打ち込む技です。
「
すり上げて 面を打つのは 至極なり。
この面は最高のワザとも言われる。表でも裏でも左右の流しは最小に。すり上げは「待ち」では先のワザにならぬ。剣先での押し、攻めの気が肝心。」
こんな言葉も書いてありました。
おそらくこの技が、正面打ち一教と同じ理合なのではと思います。
このすり上げていくタイミングについて、こんなサイトを見つけました。
「
剣道のバイメカニクス的研究 : 第5報 面すり上げ面における打太刀と仕太刀の対応動作の関係
Authors: 裕久 脇田, 英樹 高木, 信幸 細野
本研究は、打突における「後の先」の機会である面すり上げ面を対象として、仕太刀の動作開始時間、動作時間、右上肢関節角度、竹刀角度、竹刀先端速度を指標とし、熟練者群と未熟練者群の相違点を検討した。
その結果、熟練者群では
①打太刀の振り下ろし動作直後に振り上げ動作を開始するため動作開始時間が遅延する、
②振り上げ動作過程の中で円滑なすり上げ動作を行うためすり上げ前時間が短縮する、
③振り下ろし速度が大きいため動作時間が短縮するなどの結果を示し、
未熟練者群では
①打太刀の振り上げ動作中に振り上げ動作を開始するため動作開始時間が早まる、
②振り上げ動作を一時停滞させたすり上げ動作であるためすり上げ前動作時間が延長する、
③振り下ろし速度が小さいため動作時間が延長するなどの結果を得た。
以上のことから、熟練者群では打太刀の振り下ろし動作開始にタイミングを合致させた円滑なすり上げ動作による面打撃が可能であり、未熟練者群では振り上げ動作を開始するタイミングが早く、この時間的調節のためにすり上げ動作を一時停滞させ、円滑なすり上げ動作を行うことが困難になることが明らかにされた。
http://miuse.mie-u.ac.jp:8080/bitstream/10076/4828/1/AN002341990440002.PDF」
つまり正面打ちをしたからすり上げるタイミングとしては相手の刀の振り下ろし開始にタイミングを合わせるので良いようである。
あとは稽古で検証してみるだけです。
大きい相手にも上手くいくのだろうか??
--------------------記載 oka------