合気道に会えて彼此40年近くになる。早いもので すでに人生の半分以上
拘わってきた。
運命の遭遇 それは合気道なる未知のもの、目の当たりにした北平道場長の
力強い演武であった。こんな素晴らしい武道があるのかと感動した。
時を置かずして 県支部の行事が幾つかあり、それに参加するようになって
いつの間にか……の入会であった。
旧体育館に通い始めた当初 多くの諸先輩たちに交じり稽古し、指導もして
もらったが 技の左右裏表も理解し難く、初心者同志での稽古が多かった
所為もあり かなりの間、進歩のある事にはならなかった。
“道場長は上手いなァ……”模範を示されたのを見ても理解出来ない日々。
しかし 分らぬなりにでも 道場長の一挙手一投足を脳裏に焼付ける可く
身じろぎもせず食い入るように魅入ったものだ。
「あの様に上手くなりたい」羨望の眼差しで見る毎日であった為 合気道の
稽古をやめようなどとは、爪の先程も思ったことはなかった。
誰しも 共通の感性を持った指導者に出会えるチャンスはそうそう
あるものではなく、運命や巡り合せによる。
現在 私も、一指導者として修行の身であるが“憧れとなれる範”を示すことが
出来なければ、後に続く人は不幸であるし、継続したい気持ちも芽生えては
来ない。
指導者たるもの 次世代に正しく引き継いでもらう為には、正統の技や考えを
持つことが大切なことである。
日野